こんにちは!レウです。
皆さんは人間のエイズと猫エイズが、似て異なる病気であることをご存知でしょうか?
エイズという病名を聞くと、人間の場合でも昨今では理解されつつあるものの様々な勘違いや偏見が生じてしまうことがあります。
猫エイズの場合も同じように勘違いだとか偏見を持たれてしまいがちです。
すでに猫エイズキャリアの猫と一緒に暮らされている方もいらっしゃると思いますし、今後、愛猫が猫エイズだと診断されたり、保護した猫や引き取った猫が猫エイズキャリアだったりする事もあるかもしれません。
そこで今回は、猫エイズへの理解を深めておくというのは、飼い主にとっても猫にとっても大切なんじゃないかと考え、色々と調べてみることにしました。
この記事では、猫エイズについて、感染経路や症状、寿命(余命)、検査タイミングや治療は出来るのか、ワクチン接種などの予防方法、また猫エイズキャリアの猫と暮らしていく為に必要なことや多頭飼いの場合はどうすべきかなどを書いてみます。
猫エイズとは?
正式名称は猫後天性免疫不全症候群とされ、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)によって引き起こされる疾患のことを指します。
ライオン、トラ、ヒョウ、ピューマ、チーターなどのネコ科動物において感染例が確認されていて、人間のエイズと症状が似ていることから、猫エイズとも呼ばれています。
原因となるウイルスは、猫の場合にはネコ免疫不全ウイルス(FIV)、人間の場合にはヒト免疫不全ウイルス(HIV)であり、どちらもレトロウイルス科レンチウイルス属に分類されています。
両者は近縁でありつつ遺伝子構造自体に類似点がなく、それぞれ種特異性の高いウイルスとなっています。
ゆえに、猫エイズは猫特有の病気であり、FIVが猫から人や犬へと感染することはありませんし、HIVが人から猫に感染することもありません。
この部分で勘違いされている方がいるかもしれませんので、まずここは押さえておきたいポイントとなりますね。
もし猫が猫エイズキャリアだとしても、飼い主自身は恐れる必要がないというわけです。
猫エイズが発症してしまうと、猫は免疫力低下によって様々な病気を引き起こし、その負担に耐えられず死に至ってしまう病気。
ですが、それはあくまでも発症してしまった場合の話。
いまだ根本的な治療法の見つかっていない病気ではあるものの、猫がFIVに感染していたとしても、無症状キャリア期も長く、健康で免疫力を維持出来ている状態であれば、免疫細胞がウイルスを押さえ込み、発症せずに(無症状のまま)一生を終えることだってあります。
なので、猫との生活や健康状態には留意する必要はありますが、猫が猫エイズキャリアであるからといって、悲観し過ぎることはありませんし、安楽死させるなんてもっての他なのです。
猫エイズの感染経路
では、猫はいったいどのようにしてネコ免疫不全ウイルス(FIV)に感染し猫エイズとなってしまうのでしょうか。
ネコ免疫不全ウイルス(FIV)は、感染力が強いウイルスではないので空気感染はせず、主に傷口などから体内に入り込む血液や唾液などを介して感染します。
猫エイズの感染経路として考えられるのは、猫同士の喧嘩、性交渉、母猫から子猫への垂直感染、濃厚接触です。
猫同士の喧嘩
中でも最も多いと考えられているのが、猫エイズに感染している猫と喧嘩して出来る傷口からの感染となります。
咬傷によってそこから唾液が侵入して感染するケースが最も多く、その他の傷口からでも血まみれの喧嘩であれば血液が入り込んでしまう場合もあります。
ちなみに、現在のところ犬には免疫不全を起こす病気(エイズ)は確認されていませんので、猫と犬の喧嘩で猫から犬へと感染するようなことは有り得ません。
性交渉
交尾でも感染するそうですが、その場合にも感染経路として多いのは、性交渉そのものからの感染はあまり多くない。
それよりも、性行為に及ぶ際にオス猫がメス猫を押さえつけたり、首筋を噛むといった行為によって出来る傷口からの感染が多いとされています。
母猫からの垂直感染
猫エイズに感染している母猫から生まれることで感染する垂直感染については、必ずしも感染するとは限らず、感染しない場合もあります。
また、猫エイズに感染した母猫から生まれてきた子猫は、母猫から一時的に譲り受けた「抗FIV抗体」を持っているので、当初の血液検査では陽性となってしまうこともありますが、実際にはエイズウイルスを持っていない場合もあるので、成長した段階(6カ月齢)で再検査を行う必要があります。
濃厚接触
猫同士の激しい相互グルーミングなどの濃厚接触による感染は、さきほども書きましたように、FIVの感染力が強くはないので希だとされてはいますが、感染する可能性は否定出来ないとのことです。
FIVに感染した猫の寿命は?
では、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)に感染してしまった猫、猫エイズキャリアの猫はいったどれぐらい生きることが出来るのでしょうか。
猫エイズが本格的に発症してしまえば、数ヶ月(1~2ヶ月)で命を落とすことになってしまうのですが、何度も書きますがそれはあくまでも発症してしまった場合の話。
猫エイズは感染してから発症するまでとても長い時間を有する病気です。
感染してしまったからといって、ただちに命の危険にさらされるというモノでも、猫の調子がすぐに悪化したり、ずっと体調が悪い状態が続くといったこともありません。
猫エイズは下記する症状のところでも詳しく書いていますが、感染 → 急性期 → 無症状キャリア → 発症といった感じで進んでいき、それぞれ数ヶ月から数年といった継続期間があります。
感染した直後に軽い症状は見られるものの、その後に無症状である期間に突入します。
文字通り健康な猫と同じように普通に暮らせる上にその期間も長く、個体差はあるものの2~5年またはそれ以上続くと言われています。
猫エイズキャリアの猫が、猫エイズを発症することなく無症状のまま元気に一生を終えることだってあるので、その無症状キャリア期に適切な治療、適切な環境での生活を送ることがとても重要になってきます。
また、発症してしまった場合にも早期発見と早期治療を行うことで、そこから1年以上延命させることだって不可能ではありません。
そういったところから、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)に感染してから発症後の猫の余命は、個体差はあると思いますが少なくとも5年はあると言われています。
猫エイズの症状
猫エイスの症状は、大きく分けて段階的に「急性期」「無症状キャリア期」「エイズ発症期」といった3つのステージに分かれ、細かくは発症時の症状に基づいたものを合せて全部で5つのステージに分かれます。
ただ、これらステージの境界線を引くべき明確な定義や検査方法はありませんので、あくまでも大まかな流れとして捉えておくようにしてください。
急性期
猫がネコ免疫不全ウイルス(FIV)に感染した直後の一時的な症状が出る時期となります。
症状は、感染後4~8週後から始まり、風邪のような症状、発熱、下痢、リンパ節が腫れる、白血球減少症、口内炎などの症状が見られ、数週から長ければ数ヶ月間続きます。
これらはFIV特有の症状ではない上に、いずれも軽い症状または無症状に近い場合もあり、ハッキリと分らないことも多い。
この急性期の間に、ウイルスに対する免疫反応が始まり、猫の血中に抗FIV抗体が形成されることによってウイルスが減少したり、免疫細胞の復活によって、次のステージ「無症状キャリア期」が始まります。
無症状キャリア期
抗FIV抗体などによるウイルスの減少、免疫細胞による抑止、またウイルスも一旦リンパ球の中に潜む潜伏状態に入り、猫はまったくの無症状となり、健康な猫と変わらない元気な状態となります。
この無症状キャリア期は、年齢や免疫力など様々な要因によって左右されるものの、一般的には数年(2~5年)、場合によっては10年以上続くこともあります。
猫エイズが発症しないまま猫が元気に一生を終えることもあるというのは、この無症状キャリア期が長期に渡って持続したことによります。
なので、猫エイズキャリアの猫にとって、いかに無症状であるこの期間を持続させるかがとても大切なのです。
ただ、外見は無症状で元気に見える猫ですが、この無症状キャリア期の間にも、体内では免疫細胞が減り続けており、免疫力は少しずつ低下していきます。
そうして免疫力が低下してしまいネコ免疫不全ウイルス(FIV)を抑止出来ない状態になってしまうと、次のステージ「エイズ発症期」へと進んでしまいます。
エイズ発症期
免疫細胞が減り続け免疫力が低下してしまい、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)の増殖を抑えきれなくなってしまうと、エイズが発症してしまい、様々な二次的な病気に屈してしまうようになります。
日和見感染のような、健康な猫であれば感染症を起こさないような病原体にも屈してしまい、発症してしまうと命にも関わって来ます。
持続性リンパ節腫大期(PGL期)
潜伏していた猫免疫不全ウイルス(FIV)が動き出すことで免疫細胞が活発化し、免疫細胞が多く存在している全身のリンパ節が腫れる全身性リンパ節腫脹が起こります。
この症状は見た目での判別も難しく、この持続性リンパ節腫大期自体が1~4ヶ月と短い期間である為、発症に気付きにくいとされています。
エイズ関連症候群期(ARC期)
先にも書きましたように、猫の免疫力が低下した状態となり、細菌などの病原体に負けて様々な異変が起こります。
慢性的な口内炎や鼻炎、皮膚病、下痢、発熱、体重減少などが見られるようになり、中でも口内炎が多く見られる症状とのこと。
この段階であれば、まだ適切な治療を行うことで、1年以上延命させることが可能な場合もあるそうですので、猫エイズキャリアの猫に口内炎など異変を感じたら、すぐに病院に連れて行き、獣医さんの指示に従うようにしてください。
後天性免疫不全症候群期
免疫機能が完全に機能しなくなってしまい、様々な激しい症状が出て来ます。
急激な体重減少、日和見感染、白血球減少症、貧血、そして日々生産される癌細胞を免疫細胞で抑えきれなくなり悪性腫瘍(癌)が出来てしまうこともあります。
この段階まで来てしまうと、猫は1~2ヶ月ほどで命を落としてしまいます・・・。
猫エイズの検査と治療
猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染しているかどうかを検査する時には、ウイルスに抗う為に作られる抗体、猫エイズの場合には抗FIV抗体となりますが、その抗体があるのかどうかで、感染の診断がなされます。
また、検査費用は動物病院によってまちまちですが、2,000円~5,000円の範囲内で、初診料や再診料などを含めて5,000円前後となることが多いようです。
FIV検査すべきタイミング
基本的には、全ての猫に対して検査することが推奨されていますが、特に検査した方が良いのは、猫がFIVに感染したかもしれないと疑われる下記のようなタイミングとなります。
- 野良猫や子猫を保護した時
- 脱走後に帰ってきた飼い猫
- 放し飼いをしている(外に出掛ける)飼い猫
- 野良猫と接触した疑いのある飼い猫
新たに迎入れた猫や外に出掛けるような飼い猫に関しては、基本的に検査をしておいた方が良いと思います。
多頭飼いしているのであれば尚更、感染力が弱く、感染率が低い(10~20%程度)病気とは言え、他の猫に感染してしまうおそれが出て来てしまいます。
FIV検査における注意点
FIV検査は、その検査のタイミング(感染時期)やワクチンの使用、各種検査キットによっては、検査精度が100%とは言い切れませんので、検査結果に関わらず、再テストは考慮した方が良いとされています。
検査する時に注意すべきは以下のようなタイミングや状態となります。
FIV感染直後
猫免疫不全ウイルス(FIV)の抗体は感染直後すぐに作られるわけではない。
抗FIV抗体ができるまで1ヶ月(60日)以上かかりますので、それ以前に検査を行っても抗体は見つからず、陰性となってしまいます。
検査を行う際は一般的に感染後60日以降に行う方が良いとされていますが、感染の特定自体が困難だったりも。
FIV検査は一度だけではなく、検査後60日間おいてから再検査した方が確実だと思います。
再検査時には、可能であれば検査キットを変更すると尚良しです。
FIV用ワクチンを接種している場合
猫がFIV用ワクチンを接種している場合、感染による抗体(自然抗体)ではなく、ワクチンによって作られた抗体(人工抗体)によって陽性反応が出てしまいます。
実際は感染していないのに猫エイズと診断されてしまったら、必要のない治療や隔離などの対策を講じてしまい、猫への負担となってしまいます。
FIV用ワクチンの接種をしてる猫の場合には、自然抗体なのか人工抗体なのかを識別出来る検査キットの使用、もしくは抗体による判断ではなくウイルス自体を見つける検査をする場合もあるとのことです。
検査をする前にちゃんと問診するとは思いますが、FIV検査を行う際にはFIV用ワクチンの接種をしているのかどうかをちゃんと伝えるようにしましょう。
母猫が猫エイズキャリアの場合
免疫機能が発達していない子猫は、母猫から母乳(初乳)を通して免疫や抗体を移行させる「移行抗体」が行われます。
その為、母猫が猫エイズキャリアであり、抗FIV抗体を形成している場合には、その抗FIV抗体も子猫に移行されることがあります。
ゆえに、猫エイズキャリアの母猫から生まれてくる子猫に、FIVは必ずしも垂直感染するわけではないにも関わらず、抗FIV抗体を譲り受けたことで、感染していなくても検査結果が陽性となってしまう場合があるわけです。
母猫から子猫へ移行された免疫や抗体は、生後6ヶ月すると自然消滅します。
それ以前に検査をした場合には子猫が成長した段階で再検査を行うか、生後6ヶ月経ってからFIV検査を行うと良いそうです。
猫エイズの治療
残念ながら猫免疫不全ウイルス(FIV)を駆逐してくれるようなワクチンがありませんので、猫エイズに対しての根本的な治療方法というものは確立されていないのが現状です。
ですので、免疫力が低下することで引き起こされる症状や病気に対してその都度治療を行う対症療法や、免疫力を上げる為の治療、または日和見感染などを起こさないように、抗生物質などを使用することが多いそうです。
猫エイズの感染を予防するには?
猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染しないようにするには、感染している猫と接触しないことが最たる予防方法となります。
完全室内飼いの徹底
愛猫を猫エイズに感染している猫と接触させないようにするには、完全室内飼いを徹底する他ありません。
猫エイズの感染経路として最も多いのが、猫エイズキャリアの猫との喧嘩によるものですので、外に出掛ける猫が猫エイスに感染する危険性は、室内飼いの猫に比べて数倍にもなるそうです。
また、完全室内飼いはFIVに感染しない為なのはもちろんのこと、逆にFIVを外の猫に撒き散らさない為にも必要なことです。
そして、これは猫エイズに限ったことではありません。
様々な感染症、事故、誤飲・誤食、喧嘩、虐待するような輩等々、家の外には危険がいっぱいですので、愛猫に少しでも長生きしてほしいと思うのであれば、完全室内飼いを徹底する方が良いと思いますし推奨もされています。
とは言え、外に脱走してしまう猫も居たりしますよね。
どんなに注意していても、玄関の扉や窓がちゃんと閉められていなかっただとか、宅配便が来たりお客さんが来たり玄関で用事をしている時なんかに、油断していて足下をすり抜けていかれるといったヒューマンエラーは起きてしまうものです。
うちの歴代猫タムの場合も、弟の扉の閉め忘れから脱走へと繋がってしまいました。
そういった人的ミスをカバーし猫の室内飼いを徹底する為に、脱走防止扉を設置するのも一つの手段となりますよ。
去勢と避妊
猫エイズに感染しない為にも、猫エイズの猫を増やさない為にも、去勢や避妊も重要になって来ます。
去勢していないオス猫はパートナーを探す為に外に出たがってしまいます(脱走の危険が増えます)し、攻撃的で喧嘩っ早いので外で他のオス猫と喧嘩する確率が非常に高くなってしまいます。
メス猫の場合は、猫エイズに感染してしまった場合の話になりますが、避妊することによって繁殖させないようにし子猫への感染を防ぐという意味合いがあります。
ワクチン接種は?
日本では、フェロバックスFIVというFIV用のワクチン(販売中止と再開を繰り返している)があります。
外に出るような猫や、家に猫エイズキャリアの猫と同居している猫なんかは、このワクチンを接種すると有効・・・。
と言いたいところですが、その効果は100%ではない上に副作用を起こす可能性もあるので、手放しでおすすめすることは出来ません。
人間のインフルエンザでもA型、B型、C型といったサブタイプがあり、ワクチンではその年に流行しそうなタイプのワクチンを接種するというのはご存知かと思います。
猫エイズも同様で、サブタイプがA、B、C、D1、D2、Eと数種類存在し、ワクチンで有効性が確認されたのはA、B、D1だけだったり、抗体が作られない猫も居たりで、ワクチンがまったく通用しない場合もあったりするのです。
ワクチンで有効性が確認されたものついても、実験室内では防御率80%ではあるものの、FIVには変異種が多いため自然界での防御率は、それよりもかなり下がってしまうとのこと。
また、副作用の存在も怖いところ。
発熱や下痢、嘔吐など一過性のものであれば、他のワクチンにも有り得るのですが、FIV用のワクチンの場合にはそれらに加え、アレルギー反応やアナフィラキシー反応、または肉腫が出来たりといったことが希にですが起こるそうなのです。
ですので、FIV用のワクチンを接種するかどうかは、猫の置かれた状況(外飼い、室内飼い、多頭飼い等)や、懸念材料(防御率、副作用等)、獣医師さんと十分に相談した上で、判断するようにしましょう。
ちなみに、完全室内飼いを徹底していて、猫エイズキャリアの猫と接触する機会の無いような猫の場合は、このワクチンを接種する必要はないと思います。
猫エイズキャリアの猫と暮らすには
猫エイズに感染してしまっている野良猫を保護したり、子猫を拾ったりすることがあるかもしれません。
猫エイズキャリアと知りながらも殺処分されるぐらいならと、その猫を救うために引き取る決断をすることもあるかもしれません。
または、飼い猫が猫エイズに感染してしまうこともあるかもしれません。
猫エイズが発症してしまったら、ある程度の覚悟は決めなければなりませんが、発症していない段階(無症状キャリア期)であれば、猫は健康な猫と同様に元気に生活することが出来ますし、発症せずに生涯を全うする可能性だってあります。
その無症状である期間(無症状キャリア期)をいかに維持していくかが鍵となります。
猫エイズキャリアの猫に、少しでも長く生きてもらうには、どう猫と生活していけば良いのか、他にも猫が居る場合はどうすれば良いのか、可能な限りの対策を書いてみます。
猫にとって健全な生活環境を整える
基礎体力を良好に保ち抵抗力を高める為にも、栄養バランスのとれた食事、新鮮な水を用意してあげるのは、猫飼いとしては基本です。
また、病原体との接触をなるべく避ける為には、完全室内飼いにし清潔な環境を整えてあげることも重要です。
細菌が繁殖しやすいトイレや食器などは清潔に保つようにしたり、ノミやダニ、回虫など寄生虫への対策も取るようにしましょう。
また、ストレスは様々な病気の原因にもなりますし、免疫力の低下を招いてしまいます。
猫が快適に過ごせる環境を作り、なるべく猫にストレスを与えないように生活していくことも重要です。
健康状態に留意する
いくら無症状キャリア期だとしても、猫エイズの猫は病気にかかりやすいと思っておいた方が良いです。
体重が減少してないか、定期的に体重を測りつつ、適正体重を維持するようにしてあげてください。
また、口内炎や鼻炎、皮膚の疾患、特に口内炎はエイズ関連症候群期に多く見られる症状の一つにでもあります。
早期発見と治療は延命にも繋がりますので、そういった症状がないかこまめにチェックするようにしましょう。
それらを踏まえて、半年に1回の定期検診はちゃんと受けるようにしましょう。
免疫力維持に努める
猫エイズキャリアの猫でも、健康な猫とおなじように元気に見える無症状キャリア期ですが、その期間も体内では免疫力が少しずつ低下していきます。
その限度を超えた時に猫エイズは発症してしまうので、無症状キャリア期であるからこそ日頃から免疫力の維持に努める必要があるのです。
猫の免疫力を維持するには、無添加で消化吸収の良い食事を心がけること、腸内環境を整えること、ストレスを与えない生活を送ることが重要となります。
多頭飼いしている場合は?
多頭飼いしている場合には、猫エイズに感染している猫が他の猫と接触しないように隔離(部屋、食事、トイレなど全て別々に)する必要があります。
感染経路として最も多いとされる猫同士の喧嘩や、オス猫がメス猫の首を噛んで押さえつけるような行動は、いくら監視していたとしても完全に防ぐことは出来ません。
感染率は低く希とは言え、激しいグルーミングなど濃厚接触でも感染しないとは言い切れませんので、確実に感染を防ぐためには、可哀想にも思いますが隔離するしかありません・・・。
また、他の猫(未感染の猫)に、FIV用のワクチン接種を行うのも有効かもしれませんが、その賛否は分かれるところ。
上記しましたように、その効果は100%ではありませんし、副作用などの問題もありますので、まずは獣医さんに生活(隔離)状況などを伝え、本当にワクチンが必要かどうかの判断を下すようにしましょう。
猫エイズについて、考察とまとめ
人間のエイズに対してのイメージが強いせいもあって、猫エイズに感染した(または感染している)と聞くと、すぐに死と結びつけてしまったり、人間にも感染するのではないかと心配しがちですが、決してそうではありません。
猫エイズに感染したからといって、ただちに命にかかわるわけでもありませんし、健康な猫に比べて必ずしも寿命(余命)が短くなるわけでもありません。
猫エイズが人や犬に感染することもありません。
猫エイズは根本的な治療方法もなく、ひとたび発症してしまったら、飼い主としては覚悟が必要になる病気です・・・。
ですが、感染したとしても発症さえしなければ、健康な猫と同じように元気に暮らしていけますし、そのまま発症せずに生涯を全うする可能性だって十分にあると言えます。
無症状である期間を維持する為にも、病原体との接触やストレスを与えないような猫にとって健全な生活環境を整え、免疫力の維持に努めましょう。
また、猫エイズに感染しないように、完全室内飼いの徹底や避妊・去勢など、愛猫に対して出来る限りの予防対策を行うようにしましょう。
と偉そうに書いていますが、僕自身もこの記事を書く為に色々と調べてみてはじめて知った事も多々あります・・・この記事によって、少しでも猫エイズへの理解を深める切っ掛けになったら良いなぁって思います。
コメント